1.概要
【アプリデザイン】アプリデザイン~基礎編~ではアプリのレイアウトの考え方について説明しました。しかしながら、実際にアプリを作ろうと考えると、何から始めなければいけないかわからない方もいらっしゃると思います。
また、『Unifinity Studio』をインストールしてくださっている方はアプリに対する理解があっても、実際にアプリを使ってくださる人に対して「モバイルアプリとはなにか」を説明できるかと問われると考え込んでしまう方も案外いらっしゃいます。
そこで今回は実際にアプリを作るにあたって、どのような考え方を持てばよいのかを説明し、実際に作るアプリの構成を整理していく方法について解説していきます。
2.モバイルアプリ =「場所を選ばず使える入力装置」
スマートフォン上で動くアプリ、と言ってしまえばそこまでですが、ゲームやニュース、コミックや料理レシピなど多岐にわたります。いずれのアプリであっても実は「入力装置」と考えてよく、「欲しい情報を得るために入力する」という行為においてはどのようなアプリであっても同様です。
2.1.Unifinity で作るモバイルアプリ
「モバイルアプリとは入力装置」であることを踏まえて「Unifinity Platform で作るモバイルアプリ」を定義すると以下の特徴に整理できます。
- BtoB 向け
- 場所を選ばず使える
- 点検・報告業務を行う
ユニフィニティー のWEB サイトでも謳っておりますが、Unifinity アプリの目指すところは「報告業務の効率化」です。「効率化」とはすなわち、「問題の解決」と「課題の達成」がされた状態になっていることを指します。
「場所を選ばず報告業務を行えること」で「解消される問題」があり、その問題に対する課題(達成する目標)を解決する手段が「Unifinity Platform で作るモバイルアプリ」である、という考え方を持っていただくことが、これから作るアプリの出発点になります。
補足
本記事の趣旨はアプリの構成を考える為の考え方になりますので、問題点の探し方や、仮説の立て方、イシューリストの作り方といった課題解決へのアプローチ方法については割愛します。課題管理の知識を身につけることは、より業務効率を高めるアプリの企画立ての役に立ちますので併せて習得すると良いでしょう。
2.2. 問題と課題
実際に、「Unifinity Platform」で開発されたアプリの背景となる「問題と課題」の一例を以下に記載します。
【参考】問題と課題の例
問題 | 課題 |
---|---|
報告書の作成が現場では行えない | スマートフォンから入力できる報告アプリを開発する |
リモートワークの労働実態が把握しにくい | 貸与備品の棚卸や、体調を報告するアプリを開発する |
紙による帳票の集計が大変 | サーバーにデータを送信するアプリを開発する |
リアルタイムにデータが集まらない | 現場からデータが共有できるアプリを開発する |
Unifinity アプリを用いる業務=問題を抱えている業務は一つだけとは限りません。その場合は生じている問題と業務上の優先度を併せて検討し、「何から作るか」或いは「作らなくてよいか」を整理していきましょう。
3.実際の業務(問題を抱えている業務)の検討
3.1. まずは分解する
「問題を抱えている業務」の選定ができたら、次はその業務を分解してみましょう。
業務には「目的」が存在し、業務は「作業」に分解できます。
この分解作業を通して「問題を抱えている業務」を理解しましょう。なぜなら、アプリには「業務を構成する必要な作業」が網羅され、かつ目的が達成されなければなりません。
したがって、アプリの開発者がその業務に対する理解が深ければ深いほど、より実践的なアプリ=利用者に喜ばれるアプリの開発が可能になります。
まとめ:アプリの開発者は、問題を抱えている業務を分解を通して理解することが重要。
業務は以下の観点で分解する。
- 目的
- 構成する作業
3.2. アプリの構成とマッピングする
問題を抱えている業務を分解できたら、次は分解した作業をアプリ化するための検討を行いましょう。
アプリを構成する要素は以下の順序で整理してみましょう。
- 誰が使うのか
- 何を入力(報告)しなくてはいけないか
- どこに報告しなくてはいけないか
業務とアプリのマッピング例
本記事の冒頭で、「モバイルアプリ は場所を選ばず使える入力装置」と説明しました。
アプリを構成する要素はすなわち「入力する内容」になります。
業務における報告する先は「上司」や「管理部門」、或いは「お客様」ですが、アプリにおいては「出力する内容」になります。報告を必要とする相手に合わせて出力先(紙の帳票、メールなど)を選定します。
3.3. 必要な入力項目を整理する
業務内容とアプリ構成のマッピングを終えたら、「報告に必要な入力項目」を整理しましょう。
「点検担当者」を特定する為の「社員ID とパスワード」や、「販売報告」には「日付」「天気」「売上金額」といった情報です。その他「写真」や「GPS情報」など、スマートフォンの機能を用いたデータも入力項目に含まれますので、入力項目を整理する際にスマートフォン上のデータが必要になるかどうかも合わせて確認すると良いでしょう。
3.4. 出力に必要な機能を選定する
入力に対して行う出力は、項目ではなく「機能」になります。
紙にして提出が必要であれば、「PDF印刷」、フォーマットが決まっている帳票への出力が必要であれば「Excel出力」、メールでデータを送信するのであれば「CSV データのメール添付」といった出力はいずれも「機能」になります。
入力と出力の例
3.5. 必要となる画面と順序を整理する
入力項目と出力機能が決定したら必要な画面と順序を整理しましょう。
いわゆる画面遷移の検討ですが、「どうしたら次の画面に進めるか」ということを考えると必要な画面の整理ができるようになります。
例えば、アプリの構成要素が「作業員Aさんが報告する点検結果」であるならば、「作業員Aさんであることを特定する情報を入力するログイン画面」が最初に表示されるべき画面になる、といった具合です。
補足:基本的な画面遷移の順序
アプリ全般に言えることですが、基本的な遷移は「誰が」「何を」「どこに」という順序になると覚えておくと良いでしょう。
入力と出力に対して必要な画面と順序を整理した結果
3.6. アプリならではの画面追加を検討する
報告を行う際に、「複数のフォーマットから選ぶ必要がある」、「前回報告した情報が分かると入力がしやすくなる」といった状況が考えられます。基本的な画面遷移のイメージができたら、実際にアプリを使ってくださる方にヒアリングを行ってみるのも有効な手段です。
現在の報告が紙による運用であれば、「電子化することで出来るようになること」を示すことで、アプリの導入がよりスムーズになる(受け入れてもらいやすくなる)ことが十分に考えられますので、この作業は怠らないようにしましょう。
以下の例では、一つのアプリで報告する内容を選べるように「報告書一覧画面」、報告後にもう一度内容を確認する、再印刷が行える想定で「履歴確認画面」を追加したイメージです。
電子化することで実現できるアプリならではの画面を付け足した例
4. おわりに
いかがだったでしょうか。アプリを作る、ということを考えるにあたって「そもそもアプリとはなにか」という出発点から説明しました。「アプリデザインについて~基礎編~」でも説明したように、アプリは使って頂かなければ意味はありませんし、さらに言えば問題のある作ったアプリで業務を効率化できなければ価値は生じません。「Unifinity Platform」はノーコードでアプリが作れますので、大げさな事を申し上げれば、プログラミングの習得に要する時間を業務の理解に充てる、或いは想定している利用者へのヒアリングの時間に割くことができます。
そして、アプリを作る皆様には「Unifinity Platform」での開発を通して、利用者にとってより付加価値の高いアプリを提供できたという体験をしていただきたく、その一助として本記事が参考になれば幸いです。