概要
業務で使用する大半のシステムは導入すればOKではなく、「溜まったデータを活用すること」が目的です。
そしてアプリは「システムの入り口」です。データを溜めるにはアプリが必要ということは言うまでもありませんが、そのアプリを使っていただかない事にはデータが蓄積されることもありません。
「今日からこれを使って下さい」と言われても、使いにくければ敬遠されてしまいますし、まったく使われないということもありえます。
そうならないように、「入力項目に漏れはないか」を確認することはもちろんのこと、「使いやすいと言ってもらえるようなデザインにする」ということが非常に重要です。
アプリを使ってもらえる = システムが活用されている = 業務に必要なデータが自然と蓄積されていくという「状態」を作るのがシステム開発者のゴールであり、Unifinity アプリはその入口を担うことになります。
ノーコードでアプリが作れるというメリットを活かし、単なる「項目が羅列された画面」ではなく、「使いやすく設計された画面で構成される入力装置」が作れるよう、Unifinity Platform をご活用下さい。
「そうは言っても、どうやって画面を作っていけば良いのか」というところで行き詰まっている方もいらっしゃるかと思います。
そこで本記事では「アプリとはなにか」「アプリのユーザーに何を聞けばよいか」を説明します。
1. アプリって要は入力装置です
勤怠情報、営業日報、カレンダー・・・ビジネスシーンで用いられるツール、アプリの類を一言で表現すると「入力装置」です。
そこに「モバイル」を足すと、「場所を選ばず入力できる装置」ということになります。
「現場からの報告が遅い/精度が低い➜改善活動が遅れている/出来ない」という課題に対して、「自分はこれから場所を選ばす入力できる装置を作ることで解決するのだ」という考えを出発点とすると良いでしょう。
2. アプリに必要な 3 つの質問と 4 つの画面
では、そのモバイルアプリ=場所を選ばず入力できる装置を作るにはどういった情報が必要になるかを説明していきます。それが当記事のタイトルにもなっているユーザーとなる方、あるいはお客様に聞く 3 つの質問です。
- 誰が入力しますか?
- 何を入力しますか?
- 入力した内容をどうやって保存、保管しますか?
この 3 つの質問から得られた回答があればアプリに必要となる情報が整理できます。
順に、質問の趣旨を説明していきます。
2.1. 誰が入力しますか?
入力する内容はすなわち報告する内容です。報告する内容の内、「誰が入力したかは必要か」をユーザーに確認しましょう。例えば免許を要する設備や車両の点検であれば「誰が報告したか」という情報は重要ですし、店舗の売上報告であれば個人名は必ずしも必要では無い代わりに、店舗の情報が必要になるかもしれません。
「誰が」の情報が必要ということが判明したら、入力者を特定する情報を確認しましょう。
入力者を特定する情報としては以下の例が考えられます。
- 社員ID
- 部門名
- 販売店コード
2.2. 何を入力しますか?
ユーザーがモバイルアプリの導入を検討している時点で「点検作業を効率化したい」「営業日報を電子化したい」といった与件があると思います。この質問はその与件を肉付けし、要件とする為の確認事項になります。もし、帳票が存在するならその項目を教えてもらいましょう。
帳票がない場合は、実施している点検作業や営業日報として必要な項目をヒアリングします。
項目の例は「実施日」や「実施した作業の種類」、「売上金額」などが挙げられます。
本記事の冒頭に記載したように、モバイルアプリは 「場所を選ばず入力できる装置」ですので、「どこで入力するのか」ということも併せて確認しましょう。作業現場やお客様の訪問先、電車などの移動中といったケースが想定されますが、地下や屋上などのように電波が届かない場所で入力する、ということも考えられますので、その際は「アプリ内に一度データを保存する」という考慮が必要になってきます。
紙での帳票を運用している場合、モバイル(スマートフォン)ならでの情報を追加したいかどうかも確認できると、ユーザーに興味を持って頂けるようなアプリが提案できます。
- 写真
- GPS(位置情報)
2.3. 入力内容をどうやって保存保管しますか?
最後の質問は入力した内容=データをどのように保存、保管を行っているかを確認します。
入力データをシステム(サーバー)に保存しているのであれば送信先を、帳票として紙の保管が必要であれば帳票のフォーマットの提供を依頼しましょう。
「Unifinity Platform」では入力画面とは別に帳票用の画面にデータを出力し、PDFデータに変換することや、入力データをCSVファイルに変換してメールに添付するといったことも可能ですので、ユーザーにとって最良のデータ保存手段を確認しましょう。
サーバーにデータを保存したい、という要望を得られた場合は「どのように分析したいか」あるいは「アプリの仕様を通して蓄積されたデータをどのように活用していきたいか」ということもヒアリングできると、後のシステム構築時に有用な情報になりますので合わせて確認しましょう。
既にデータの保存先がある場合は、改めてどのようにデータを活用しているのか、ということを整理しておくことでより業務の理解が深まりますし、アプリの画面作成時のヒントにも繋がります。
3. 質問で得られた回答から画面を作る
質問から得られた回答を基に画面を作ってみましょう。
どれだけ複雑なシステムを持ったアプリであっても、「入力装置」となる部分を構成しているのは画面は以下の4つになります。
- ログイン画面
- 一覧画面
- 入力画面
- 帳票出力画面
これだけ作れば、ユーザーに対して「それってこんなアプリですよね」という提案が可能になります。以下に、質問から得られた回答を基に作成した画面の例を掲載します。
3.1. ログイン画面
「これから入力するのは誰か」ということをシステムに認識、特定させることを目的にした画面です。この例では「社員ID」と「パスワード」を入力する画面にしています。「部門ID」や「販売店コード」など、所属情報も必要であれば適宜、入力項目を追加します。
3.2. 一覧画面
ログインに成功した次に表示される画面です。
アプリ内で作成した報告内容の一覧を表示する他、新規に作成(画面では「+」ボタンが『新規作成ボタン』)を行うなど業務の起点となる画面になります。
移動中などにも入力するという回答があった場合は、作成した報告書をタップすると更新や修正が行えるようにすると良いでしょう。
3.3. 登録画面
「何を入力しますか?」という質問から得られた回答を基に作成する、報告内容の入力画面です。これがアプリのメインとなる画面になります。「日付」や「金額などの数字」を入力する項目はテキストではなくカレンダーのUIやテンキーを表示するなどして入力効率を高める工夫を心がけましょう。
可能であれば、画面作成後にもう一度過不足が無いかを相手に確認し、過不足の調整を行っていきます。
3.4. 帳票出力画面
『登録画面』で入力した内容を帳票として出力する画面です。
データの登録とは別に、お客様への提出や帳票として保管する必要があれば作成します。レイアウトについては現行の帳票を参考に作成するか、Excelデータが存在するならExcel取り込み機能を使用すると良いでしょう。
4. アプリ開発者の方へ
アジャイル導入のすすめ
本記事で説明した質問を通して「ユーザーの業務を理解すること」がアプリを作る上で重要な視点です。しかし、プロフェッショナルの業務をわずかな質問で深く理解するのはとても難しいことですので、ある程度作成したらユーザーのレビューを行い、アプリの完成度を上げていく工程が必要になります。そこで、定期的にユーザーにレビューしていただくことを前提とした画面設計の期間(基本設計工程)を「アジャイルの期間」とする、というのも有効な手法です。
ユーザーの満足が得られるよう反復(ヒアリング → モック作成)を行なった後、バックエンドや管理画面の検討を行うようにすることで、いわゆる手戻りを最小限に抑える、という考え方です。
「Unifinity Platform」は簡単に画面を作ることができ、このような開発の進め方に向いたツールですので、開発の進め方に問題を抱えている開発者の方は 「Unifinity Platform」の活用の一つとして是非ご検討下さい。